相続税改悪 - 　徒然玩具箱　

少し前に書こうと思って途中まで書いて忘れていたのだけれど、森永拓郎さんが今回の「構造改革をどう生きるのか」の中で相続税増税について書いているのを見て思い出した。

元々は、７月１日のテレビ報道とニュースがきっかけだった。

・ここにきて浮上しているのが、「格差是正税制」論だ。
・バブル前は死亡者の約８％が課税対象だったが、現在は４％程度にとどまる。
・大幅な歳入増は見込めず、「あくまでも、消費増税とセット」（政府関係者）という。
・消費税は、所得税、法人税とともに「基幹三税」と言われる。
・日本は世界的にも税率水準が低い。
・０９年度には基礎年金の国庫負担を現在の３分の１強から２分の１に引き上げることが決まっている。新たに消費税１％にあたる２．３兆円の財源が必要となる。

この記事を読んで即座に「馬鹿野郎！」と思った。元々バブルの後に相続税をいじってるから、現在の相続税制度自体がすでに相当な金持ち優遇税制になってる。

さらに言えば現行の税制っていうのは2003年に「相続税」も「贈与税」「証券税制」もすでに金持ち優遇にしてあって、この時に「法人税」も大幅に引き下げたので

既に、とっくに、とうの昔に、日本の税制は金持ちと大企業のための税制になっているっていうのに、それを完全に無視して何をとんちんかんなことを言ってるんだろ？

それをやったのは一体どこの強カン獅子丸と、どこの自慰民党とかいう政党だったっけ？

などと言いたくなってしまった。

森永さんは今回「結局は金持ち優遇の相続税増税でいいのか」と書いてる。

・圧倒的に低所得者を直撃する逆進的な税制なのである。（消費税について）
・ようやく自民党税調も、まともな税制改正を打ちだしてきたなと一瞬喜んだ。
・ところが、報道をよく読んでみると、現在税調が考えている相続税増税というのは、とんでもない代物だったことに気づいたのだ。
・そうした前置きをしたうえで確認したいのが、小泉内閣時代の2003年に実施された相続税率の大幅引き下げである。
・このとき、最高税率が70％から50％へと大幅に引き下げられた。
・このときに引き下げの対象となったのは、遺産の総額が３億を超えている部分だけである。
・つまり、３億円以上の資産を残した大金持ちだけを優遇した税率引き下げだったのだ。
・当然のことながら、この最高税率を元に戻すことで、格差是正を図ろうとするのだと思った。
・だが、いま考えられている増税策は、この控除額を減らして、もっと小さな金額の遺産からも税金を取ろうというわけである。つまり、相続税を取る対象を増やそうというのが、今回の議論なのである。
・早い話が、この相続税改正案は零細企業狙い撃ちの案なのである。
・もし本当に税収確保を図りたいのであれば、大金持ちの遺産に高い税率をかけることだ。それだけで、かなりの金額が得られるはずだ。
・わたしが思うに、10億円以上の遺産を残した人は、よほど運がよかったか、悪いことをしたかのどちらかである。

そうなのだ。それじゃなくてもこれまでにいいだけ一般市民には何の益もない金持ち優遇税制を進めてきているのに、さらにそれを補強してどうしようって言うんだ？

それを一体何を考えてるのか知らないけど「格差の是正」などと打ち出してたのだから、呆れて開いた口が塞がらなくて物が言えない...

森永さんが途中で以前に書いた消費税論議を吹き飛ばす、相続税改正の大きなパワー / SAFETY JAPAN [森永卓郎氏] という記事で言及しているような、相続税のかけかた次第で、すべての税金が不要に！などといったことが簡単にうまく実現するとは思わないけど

秩序と活気のある柔軟性に富んだ社会をつくっていくことを考えると、相続税できっちり税金を取るというのはすごく大切なことなんじゃないだろうか？

10億円以上の遺産を残した人は、よほど運がよかったか、悪いことをしたかのどちらかである。

とは思わないけど

生きているうちに、さんざん悪いことをしたのならば、死んだときくらいいいことをしてもいいではないか。また、生前に運よく儲けることができたなら、死んだときに社会にその恩返しをしてもいいではないか。

って森永さんが書いてるように、個々の人が豊かに暮らしているということは、豊かであればあるだけ、それは社会からの恩恵を日々たくさん受けているということなのだから、当然、税制の累進制はきちんと確保しておく必要があるし、同様の観点から企業税制もきちんとしておく必要があるし

相続税に関しても、その人間が社会から受けた大きな恩恵を、その恩恵を受けた人が預かった恩恵に応じてきちんと返すということだから、当然のことなんじゃないのかな？

何にせよ、「格差是正」って言うんなら、現行の金持ち優遇税制を元に戻すのが、まず最初だよなぁ...