構造改悪

【すごいぞ日本】論考編I 自信回復への指標(上)



> 確かに景気は一向に良くならない。すでに行政組織を去り、一企業人となった筆者にはその厳しさが身にしみる。特に地方や中小企業にとっては深刻だ。話が違うではないかと思う人も多いだろう。改革は「やり過ぎ」だったのだろうか。
> 1995年夏、スイスのジュネーブ世界貿易機関WTO)の金融サービス交渉で日本は孤立していた。
> 大蔵省は結局、大幅自由化を受け入れ、翌年に金融ビッグバンが始まった。
> 96年の夏は基本電気通信サービス交渉だった。
> 98年には大幅自由化が正式合意され、その後IT革命が始まった。
> 構造改革小泉首相の専売特許ではない。80年代の中曽根改革に始まり、90年代の橋本構造改革、小渕政権での経済戦略会議、森政権での産業新生会議など脈々と受け継がれている。


【すごいぞ日本】論考編I 自信回復への指標(下)



> それでも、最近の米国、中国の落ち込みぶりを見ていると、日本の現状はそれほど酷(ひど)くはないかもしれないという気がしてくる。米国の親しい友人からはむしろ、日本に対する期待が何度も囁(ささや)かれた。
> 実際に、日本経済は2000年以降改善に向かっている。労働生産性を見てみよう。
> 構造改革批判は、景気が回復しない、格差が広がった、の2つに大別される。だが、経済学的にはこの批判は的外れだ。
> 構造改革とは、戦後の長期にわたる社会主義的経済政策により生じた非効率と高コスト体質を排除し、日本の労働・資本・技術の潜在的能力を引き出して、国際競争力のある新規産業を生み出す環境を整備することである。


ここまで酷い記事を見たのも久しぶりかも。


良い意味においても悪い意味においても、いろんな意味で「すごいぞ日本」と思う。確かに不必要に自信をなくしている面が大きいってのは本当だと思うけど、改革がやり過ぎだと思っている人なんか居るだろうか? むしろ全然足りないと思っている人がほとんどなんじゃないかな?


問題は「構造改革」って言葉が曖昧でどうにでも使える都合の良い言葉だった事なんだろうけど、大多数の国民が思い描いてたのは金融や通信その他の産業構造を現状に合うように規制緩和していくだけじゃなくて、それに付随して


昔からそこに厳然と存在する政治や行政とのもたれ合いやお手盛り天下りといった、非常に無駄ばかりで効率が悪くてその上に特定の既得権益者だけを依怙贔屓する異様に燃費の悪い税金無駄遣いエンジンをもっとスマートで効率の良いモノに作り替える事だったと思うんだけど...


それなのに、世界情勢的に見て遅かれ早かれ... って感じだった金融や通信あたりの都合の良い部分だけ取り上げてうまくいったみたいに言うのはおかしいんじゃないのかな? その間も今も○○公団とか△△事業団は××機構って名前になっただけで全然減ってないし、統合再編も人員整理もろくにされてない。


その間に潰れた銀行やスーパーなんかの事例を見ても「なんでコッチの銀行は潰してアッチの銀行は助けるの?」とか「なんでソッチのスーパーは潰してコッチのスーパーは助けるの?」って素朴な疑問を解消してくれる明確なスキームはどこにもなかったし、その後しっかりとしたスキームが作成されたとも聞かない...


で、さらにその影で、規制緩和に際して当然起こる問題に対処するための罰則を含む法律整備や、起きた場合の責任の所在を明確化する仕組みをきちんと作ってないから、耐震偽装問題や株式取引のインサイダー問題なんかがじゃんじゃん出てきた。


でも、耐震偽装問題でまともに裁かれたのは構造設計をした姉歯建築士だけ... 規制を緩和して参入しやすく違法行為を行いやすくした上に、さらに問題が発覚しても処罰されるのが一番下の末端に位置する者で、より大きな責任を負うべき上の者ほど何も処罰されないなんて、なんか世の中おかしくないかな? そういうのは「制度の改悪」とか「構造改悪」って言うんじゃないのかな? 普通は?


それなのに、狂牛病問題の全頭検査にしても、食品偽装問題の消費者省新設検討にしても、何かあるたびにワザと過剰反応して新たに部署を設置して予算をつけ、利権を増やすことだけには余念がない。


そんな状態で、税金の負担ばかりが増し、賃金は上がらず、サービス残業が増え、住宅ローンが重くのしかかり、食料品が値上がりし、年金制度が破綻しそうで、収入の少ない労働者が増え、窃盗などの経済犯が増え、異常な数の自殺者が出てる。


そういった状態で2つ目のグラフみたいに生産性上昇率が上がっても何の意味も無いんじゃないのかな?


市場規模にしても、生産性上昇率にしても、そんなただの経済的指標の数値が良くなっても、そこで暮らしてる人達1人1人の生活が良くなっていなかったら何の意味も無いんじゃないのかな?


> 逆に改革がなかったら、どうなっていたのだろうか。日本はグローバル化の波から完全に取り残され、二流国に転落していたはずだ。
どうやらこの記者の方は「既に日本は二流国に転落している」という現状をご存じないらしい...
「もう、経済は一流ではない」日本 | 米国不動産投資
【ネット時評 いま世界は?】ゼロ金利政策続け、ついに経済二流国に転落


経済2流、政治3流、マスゴミ4流ぐらいが現状の流れかな? 国民は1だと思いたいけど、やっぱ3ぐらいなのかなぁ...




構造改革論の誤解