エスノ

アナリストの森永卓郎さんという人がなぜか結構好きだ。自分は全般的にはっきりきっぱりと物を言う人が好きな傾向が強いのだが、この人は滑舌もはっきりしないし、主義主張や論理もブレが多少あって押し出しも弱く、生き物に例えると亀タイプと言える気もする。元々は気が強いのか弱いのかよく分からない面白い人だなぁと言う部分が気になって何となく見ていた感じだったのだが、最近はなぜか「頑張れ」と応援したくなってきた気がする。


そんな森永さんがたばこ1箱1000円にすれば財政問題は解決するのか というコラムを書いた。



・笹川氏によれば、1箱1000円にすれば9兆5000億円の税収増が見込めるという。
・1日2箱のたばこを消費するわたしが、さまざまな角度から試算をして、たばこ増税の是非を論じてみたいと思う。
・要するに、たばこの価格を現在の倍の600円に引き上げた場合、消費量は3割近く減るものの、税収は2兆円増えるという計算である。
・200円引き上げた場合、税収は2兆2700億円となり、日本学術会議の数字よりもはるかに少ない。さらに、700円引き上げて1000円にしても、禁煙する人が増えるために税収はほとんど変わらないのだ。
・一般のサラリーマンは、1箱1000円のたばこなど買えないのだ。


たまたま(?)25日に東京副都知事猪瀬直樹さんが「眼からウロコ」で似たような試算を出してるのだけれど、森永さんはその他にもアナリストらしく当然のように医療費の試算を出してる。



・これによると、たばこを吸うことによって、医療費だけで年に1兆3000億円、その他を加えると7兆円以上の損失があるというわけだ。
・たばこを吸い続けていると寿命が5年縮まるという。ということは、年金の給付期間が15年から10年へ、3分の2に短縮されることになる。すると、給付額は約13兆円減少するのだ。
・もちろん、これは暴論であることは分かっている。だが、あえてこういう数字を出したのは、「こんな見方もある」ということを知ってもらい、議論のネタにしてほしいからだ。


だそうで、分かりやすく釣られてみたのだけれど、吸わなければやってられない人と嫌いで堪らない人の気持ちを理解することのできない、以前は吸っていたけれど現在は吸っていない、タバコの匂いが大して気にならない自分は、どっちでもいい。


でも、喫煙者が非喫煙者に比べて多額の税金を納めているのは厳然たる事実で、喫煙者には当然それに見合った権利が留保されて然るべきだとも言えると思う。


ただ、健康増進法という日常的な場所で喫煙者を吊るし上げていくような法律を施行してまで喫煙者を減らしていこうとする中で、来年から500円にして3年後には1000円にします。ついでに5年後には喫煙を違法とします。これはあなた方の寿命を5年伸ばすためです。というのであれば筋が通った立派な話しなので大賛成いたします。


税収が減る? タバコ税がどうとか、そんなことが根本的な問題ではないことは国民がみんな既によく理解しているなので、言及する必要なんてないと思う。



ただ、今回の森永さんのコラムがとても興味深かったのは、こういった現在までのタバコ論議について「エスノセントリズム(自民族中心主義)」とかいう簡単に言ってしまえば排他主義の難しい言葉を持ち出してきて「非寛容性」についてまで言及していること。



・これは自分たちの民族のやっているライフスタイルや価値観が、すべて正しいとする考え方である。
・自分たちが力を得たときには、「お前たちのやり方は間違っている」「ほかのやつらは自分たちに合わせろ」として、一切多様性を認めないところに特徴がある。
・禁煙は、下手をするとナチスのように他者の存在を認めない原理主義に陥ってしまう。
・実は、わたしもその事実には薄々気づいていたのだが、生来の小心者ゆえ、メディアでおおっぴらに書く勇気はなかった。
・極端な嫌煙家の言うことに、どこか独裁者的な危険な香りを感じるのはこのあたりに原因があるのかもしれない。
・断っておくが、わたしは分煙推進論者である。
国鉄民営化の際、莫大(ばくだい)な負債をたばこ税の増税という形で補ったのを忘れたのだろうか。
・楯突く人間を袋だたきにするという傾向が顕著だ。こうした社会は病んでいるのではないか。
・「はい、森永は深く反省しております」


やっぱり強気なのか弱気なのか分からない... コメント欄があったらどうなっていたやら... でも、だからこそ応援したくなるのかも。


エスノセントリズム? グローバリズム? テロ? ナチズム? いじめ?


え? 違うって? どこが?